研究課題/領域番号 |
19656073
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
日高 邦彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90181099)
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研究分担者 |
熊田 亜紀子 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (20313009)
松岡 成居 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (10114646)
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キーワード | カー効果 / 電界測定 / コロナ放電 / イオン密度 / コロナ風 / 空間電荷 / 非接触 |
研究概要 |
気体カー(Kerr)効果を用いた非接触空間電界測定法を発展させて、従来、測定が困難とされてきた弱電離空間の電界および空間電荷密度を非接触で測定するシステムの構築が本萌芽研究の目的である。平成20年度の成果をまとめると以下のようになる。 A.各種気体のカー定数の測定 1)圧力0.1MPa当たりの定数として以下の値を得た。CO2:8.27×10^-19[m/V2]、SF6:1.56×10^-19[m/V2]、N2:1.43×10^-19[m/V2]、CF3I:176×10^-19[m/V2] 2)CF31のカー定数は他の気体と比べ10〜100倍程度ときわめて大きいことを見出した。 B.ポアッソン場計測可能性の検討 1)イオン量と空間電界を独立に制御できる装置を用いて、大気圧開放空気中に生じる複屈折(位相差)の測定を行い、検出された複屈折はイオン流量と正の相関関係があることを見出した。2)イオン流量の影響に関して、イオン流によってコロナ風と呼ばれる中性分子の流れが生じるため、その影響をイオン流量の影響とを分離して測定する必要があることが判明した。そこで、イオンを遮蔽し、イオン風による中性分子の流れの影響を測定した結果、イオンのカー効果と共に、コロナ風による中性分子密度の揺らぎの影響が支配的であることを示唆する結果が得られた。3)上記2)の結果からイオン流場におけるカー効果を精度良く測定するためには、中性分子の影響を除去する必要があり、今後の課題と言える。中性分子の影響を除去することができれば、放電空間やイオン存在下における電界の測定が可能であり、また、その空間電界からイオン密度を算出することが可能と考えられる。
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