横型シリコン/シリコン酸化膜系ダブルバリア構造デバイスにより、従来のトンネル分光法が分光対象としていたバリア材料としての固体絶縁体に加えて固体伝導体、液体、生体の分光も可能にする共鳴トンネル分光法を開拓する目的に対して、シリコン/シリコン酸化膜/ナノ空隙/シリコン酸化膜/シリコンの横型ダブルバリア構造を製作し、ナノ空隙にダブルバリア間材料として超純水、アルコールを導入することにより、シリコン間の電流特性が変化することを明らかにしている。ナノ空隙を形成する集束イオンビーム加工によりシリコン基板上に形成したピンホールの大きさと光散乱との関係を明らかにし、ナノメートルスケールのピンホールを光散乱により評価する方法を開発している。ナノメートル空隙分光デバイス構造は、SOIウェハを基板として、リソグラフィ、シリコン層のエッチング、集束イオンビーム加工の微細加工によりナノ空隙部を形成し、シリコン層表面に極めて薄いシリコン酸化膜を形成し、シリコン酸化膜を部分的にエッチングしてシリコン表面にアルミニウム薄膜を形成することにより製作した。そして、合成樹脂材料を用いて液体の流路を形成した。ダブルバリア間材料として超純水あるいはアルコールをナノ空隙に導入することにより、端子電極間の電流が増加することを明らかにしている。そして、アルコールを導入したときの電流は超純水と比較して小さいことを明らかにし、液体の違いを検出できることを実証している。また、バリア性が異なるシリコン酸化膜を形成したダブルバリア構造を製作し、バリア性が低い分光デバイスでは超純水を導入したときの電流が大きいことを確認している。
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