研究概要 |
本研究は、ノックオンイオン注入法によって極浅領域に高濃度に不純物を局在化させ、マイクロ波アニールによって不要な拡散を伴わずに効率的に活性化させる画期的な極浅半導体接合技術を創出するものである。マイクロ波をドーパントとなる不純物原子あるいは結晶欠陥に直接吸収させ、電界との相互作用としての分極や荷電粒子による渦電流損失により発熱させるため、マイクロ波をウェハに均一に照射することが不可欠な課題である。今年度は,アニールチャンバ内で入射マイクロ波を分散させ、また基板ホルダーを回転させる機構を設けた実験装置を設計・試作した。Si単結晶ウェハを用いたマイクロ波照射実験により、効率的にマイクロ波がウェハに吸収され、熱エネルギーに変換でき,極めて短時間でウェハ温度が上昇することを確認した。チャネリングを防止するためにArイオン注入により表面をアモルファス化したSiウェハにBイオンを注入し、この装置を用いてマイクロ波アニールを行った。B原子の電気的活性化のマイクロ波照射条件依存性を詳しく調べた結果、マイクロ波入射電力が300Wのときは1分以内で注入したB原子のほぼすべてが活性化し、p型ドーパントとなった。そのシート抵抗は通常の電気炉アニールの900℃、30分に相当する。シート抵抗の2cm平方内均一性は3%以下であった。ノックオン注入のp型およびn型ドーパント不純物としてはAl,InおよびSbを選んだ。それらのターゲット材料を準備してRFスパッタによる薄膜堆積条件を求めた。次年度では、マイクロ波アニール実験装置を用いてノックオン注入不純物原子の活性化を行う。特に、拡散の早いBでは実現が難しいp型極浅低抵抗層を実現する。
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