研究概要 |
本研究では,多数のノードの動的な状態で情報を表現することを前提とした新しい情報基盤のコンセプトを提案し,提案するモデルでの情報の符号化法の開発を目指している.本年度は(1)ニューラルネットワークで表現された知識からの知識抽出,(2)セルオートマトンにおける自己組織化・同期現象,(3)動画像からの動き情報を抽出するため評価関数の提案の三つテーマについて重点的に研究を行った.ニューラルネットワークで表現された知識からの知識抽出に関する基礎研究に関しては,静的な構造ではなく,ダイナミックスに符号化された情報の抽出を,複数の線型パーセプトロンから構成されるニューラルネットワークアンサンブル(集団)と競合学習手法を用いて,任意の非線形問題(知識)を複数の線型問題(定型の小知識)に分離することができることを示し,ネットワークからの知識抽出法を提案した.ネットワークにおけるダイナミクスに情報を蓄積・復元するという観点から,ネットワークにおける少数ノードの相互作用が及ぼす自己組織化・同期現象のプロトタイプを示すために,セルオートマトンで研究を行った.離散系であるCAの解析に伴う困難の一つに,組み合わせ論的な議論が必要となることである.しかし,本研究では多数決ルールCAを逆超離散化と呼ばれる手法で実数化し,局所的な発展則を得た.この発展則を用いて安定解析を行い,自己組織化・同期現象に関する定性的な結果を得た.動画像をネットワークと見なせば,動画像を静止画像として画像処理することで情報を生成・抽出するのでなく,動画像のダイナミックスに注目して画像処理することは,ダイナミックを基づく情報の生成・抽出方法となる.この視点から,動画像の動きに注目した動画像処理法を提案し,動画像の局所ダイナミクスを評価するための時空間白色度を提案し,その有効性を示した.
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