超高解像度CdTe放射線デバイスを目指した新しいエネルギー弁別の研究で、超高解像度化のために避けて通ることの出来ない走査型デバイスにおけるエネルギー弁別手法を提案、検討した。 ダイオード構造の設計と作成により空乏層の制御が可能であることと、放射線検出が可能なことを確認した後、複数の線源を用いたエネルギー弁別スペクトル、特にピークエネルギーの特定が可能であることを示した。また、空乏層制御をより正確および効率的に行うためのダイオード構造の設計および試作を行い、ダイオード面全域にわたりより正確な制御を行うことを可能とした。また、空乏層外でのキャリア走行性の検討を行い、空乏層外での理論想定外での挙動が予想以上に大きいことから、演算上の連立方程式内でこの動きをキャンセルする方法を提案、検討した。しかし、この部分での動作は印加電圧により変化するため、計算による対処的な手法ではなく、根本的に(物理的に)解決する必要があることがわかり今後の検討課題とした。 一方で、この構造に適した信号処理系、原理的増幅器の設計および試作を行った。基本的には従来から用いている電荷増幅器であるが、基本動作が蓄積動作となるため、それに適した回路構成を行った。また、バイアス電圧変化に対する増幅特性の変動を抑える工夫を行い、結果としてエネルギーピークの検出が出来ることを示した。
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