研究概要 |
コンクリートの空隙構造を三次元画像計測するために,X線マイクロCTによる新しい計測手法を開発することが本研究の目的である.コンクリートの細孔組織は,セメントペースト,骨材,空隙などから構成されており,さらにセメントペーストは水酸化カルシウム,カルシウムシリカ水和物などの化学組成が異なる物質から構成されている.このような複雑な細孔組織において,X線マイクロCTを用いて物質移動を支配する空隙だけを抽出し,これを差別化するための画像解析技術を研究する. X線CT画像を計測するにあたって,施設の使用実績を有する人見尚氏((株)大林組技術研究所土木材料研究室,LCCグループ副主査)を研究協力者として,大型放射光施設であるSPring-8(兵庫県西部西播磨学園都市)を利用した.この理由は,施設で発生するX線の特徴として,高い平行性と輝度および広い範囲のエネルギーが含まれていることが挙げられる. 使用した供試体は,普通ポルトランドセメントを用いたセメントペーストである。材齢を2,7,28日として,細孔組織の変化をCT画像から定性的かつ定量的に把握できるか研究した。空隙構造を3次元で画像処理して,定性的な比較を行った。次に,空隙の定量化にあたって,二値化手法について研究を行った。さらに,空隙構造の定量化指標についてランダムウォークシミュレーション法の適用を研究した。
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