研究概要 |
本研究は,橋梁を対象に1)地域防災計画と整合した現実的な性能目標とはいかにあるべきか,2)ダメージフリー橋の建設はどのような条件で可能で,これに要する技術的用件は何か,ダメージフリー橋を建設するためには技術者が漠然と考えているように本当にかなりのコストアップを必要とするのか,3)橋梁の持つ耐震性レベルや耐震補強の緊急性を表すと同時に,耐震補強効果にも評価できる相対指標(耐震指標)をどのように定義すべきかを明らかにすると同時に,これらに対しても適切な提案を行うことを目的とするものである. 地域防災計画を達成するために地震後に橋梁に求められる要件を整理し、地震防災担当者にヒアリングすべき項目をまとめた。調査のポイントは,地震後,何日の段階でどのような種類,車種,重量の車両演どのような走行条件の下で橋梁を走行することが求められているかに置いている。また、現状の耐震設計に基づいてダメージフリー橋を建設可能な条件を明らかにすることを目的として、よく採用される型式の橋梁を対称として、非線形動的解析によるシミュレーションにより大地震時の耐震性を検討した。この際、橋梁の耐震性に支配的影響を与える橋脚の終局変位が従来は繰り返し載荷実験結果に基づいて定められているが、振動台実験やハイブリッド載荷実験に基づく地震動入力の作用下ではもっと大きくできることに着目し、終局状態の再評価を行い、終局変位の推定式を開発した。これにより、より正確に荷重低減係数が評価可能となり、従来に比較して、10-30%程度荷重低減係数を大きくできることを明らかにした。この結果に基づいて、橋脚の曲げ耐力,せん断耐力,じん性率,基礎の降伏およびじん性率を取り入れた橋梁の耐震性指標の考え方を整理した。
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