研究概要 |
土中の間隙空気や間隙水は熱力学的な相互作用を受け,その平衡状態は,間隙空気中の水蒸気圧や気体の間隙水への溶解量,温度,液相と気相の割合に影響される。このため,温度や圧力といった状態量の変化は不飽和土の動力学特性に少なからず影響を与えると考えられる。中でも,間隙水や間隙空気が土粒子骨格の外へ出ないような急速な載荷(例えば,地震動)を受ける場合には,熱力学的平衡が瞬時に達成されるわけではないため,土の有効応力状態は時間に依存してより複雑になると考えられる。このような力学特性は,特に拘束圧が低く、大気温度の影響を受けやすい表層の不飽和領域の斜面崩壊機構と密接な関係があることが予想される。 本研究では,熱力学的平衡,すなわち温度・飽和度・土中の気相の挙動に着目して,土粒子-間隙水-間隙空気の三相から構成される土の動力学特性に対する影響を明らかにすることを目的としている。平成19年度には,1)新たに温度制御可能な不飽和土用断熱セルを製作し,間隙空気の体積・圧力・温度の変化を計測しながらの繰返しせん断試験を開発した。2)非排気非排水条件下で温度変化を受ける不飽和土の有効応力状態(サクション)を検討した。3)土粒子-間隙水-間隙空気三相系の熱力学的平衡を考慮した有限変形・動的・不飽和の変形問題を理論的に定式化するための文献整理,研究状況を整理した。
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