研究概要 |
以下の徳島県内の5事例について,ヒアリング,アンケートを実施し,我が国のPIにおける中立的第三者の成立性を明らかにした. 1.那賀川流域フォーラム(2002-2004)那賀川の河川整備計画策定に当たって形成された参加型検討会 検討会の進行(ファシリテーション)を担当した委員を中立的第三者として、検討会への参加者に対して中立性評価をヒアリングした。 2.沖洲マリンピア整備手法検討委員会(2002) 高速道路ICの海浜埋立事業の見直しを行った委員会。委員会の第一回会合にて複数の広報車から委員投票で選出された委員長の会議進行に対して、参加者に中立性評価をヒアリングした。 3月見が丘海浜公園ワークショップ(2003-2005)海浜埋立地の大規模公園設計ワークショップ。県から委託された財団から選定されたNPOがワークショップの運営を行っている。ワークショップの参加者に対してNPOグループの中立性評価をヒアリングした。 4.北常三島交差点安全施策検討会(2005-2006)幹線道路交差点安全施策,地域及び沿道住民,利用者,関係行政機関によって。コンセンサスビルディングの手法を忠実に実施した事例。メディエーションを担当したNPOコモンズのチームの中立性に関して、最終提言後に実施されたアンケート調査、および実施者に対してヒアリングを行った。 5.吉野川河川整備計画「住民の意見を聴く会」(2006-2009)流域委員会に代わる方式として2006年度より始められた会。国土交通省が中立的ファシリテータとしてNPOを選定。NPOは行動規範,中立性確保のための条件を公表し、運営に当たった。会合で対立している環境派、開発派の市民に対して、ファシリテータの中立性に関するヒアリングを実施した。 各事例について,参加者へのヒアリング,アンケート調査を分析した結果,中立的第三者の成立には、ファシリテータや進行役の役割、過去の利害関係、会合の前提条件、中立者の会合における承認の有無などが重要な要件であることを明らかにしている。
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