研究概要 |
本年度の研究では,以下に示す3種類のフライアッシュの活性度の改善手法およびそれらの組合せ効果を試し,その品質改善効果を立証するとともに品質改善メカニズムの解明を試みた。 1)化学処理によるフライアッシュ粒子の表面形状改変による活性度の改善 2)フライアッシュ粒子の微粉砕による活性度の改善 3)添加剤の混合による活性度の改善 その結果,「1)化学処理による表面形状の改変」に関しては,充分な活性度の改善効果が得られず,使用する薬剤および処理条件について再検討が必要であると考えられる。「2)微粉砕による活性度の改善」に関しては,複数種類のフライアッシュにおいて一定の活性度の改善効果が得られた。これに対して,「3)添加剤の混合による活性度の改善」に関しては,一部のフライアッシュにおいて「2)微粉砕」と組み合わせることにより非常に大きな活性度の改善効果が得られたのに対し,他のフライアッシュでは組合せの効果が全く現れないことも明らかとなった。これは,フライアッシュの種類(火力発電所の炉の違い,燃焼温度の違い,使用する炭種の違いなど)が活性度の改善効果に大きく影響していることを示しており,複数のフライアッシュに対して行ったX線回折の結果からも,その組成には大きなばらつきが存在することが明らかとなった。このため,安定的にフライアッシュの活性度を改善するには,新たに他の方法を導入する必要があることが明らかとなり,次年度の研究計画としては,「4)焼結炉を用いた添加剤の合成による活性度の改善」に関する検討を引き続き行っていく予定である。
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