研究代表者と分担者はよ緊密な連携のもと当初計画に従い以下実施した。 検討1: 粒子速度センサのキャリブレーション手法の確立に向けた検討:当初計画では広帯域(20Hz-20kHz)への拡張を目指す計画としていた。しかし、所有する2台のセンサが交互に不調をきたし、製造元での調整を繰り返すこととなった。本研究の目的が開発途上にある粒子速度センサの可能性を探ることにあり、こうした事態も予め想定した上で2台のセンサを用いてきた。これに伴い当初予定を変更し、本研究の主眼である100Hz~1500Hzの周波数域に対象を絞り、センサの安定性に留意しつつ以下の各項目を実施した。 検討2: 粒子速度センサを利用した測定法と既往の測定手法(残響室法、管内法)により得られる吸音特性の関連の明確化:提案手法、残響室法、管内法3者の吸音率を比較し、その相違を定量的に示した。また、建築研究所や日本大学等で測定したラウンドロビン・データをもとに詳細な検討を加え、音源位置-受音位置-試料境界-音圧・粒子速度、の相互関連を実験的に明らかにした。 検討3: アンビエントノイズの定義の明確化:高速多重極展開境界要素法を用い、音場のパラメトリックスタディとモンテカルロシミュレーションを実施し、アンビエントノイズの定義並びにその利用による音響測定メカニズムの詳細を解明した。なお、粒子速度センサを利用して材のランダム入射時の吸音特性のアンサンブル平均を測定する際に必要な各条件(センサ位置、試料寸法等)を明らかにし、本研究の成果を活用し材料の開発等を行う際の基礎資料とした。 これまでに得られた成果については逐次、日本建築学会、日本音響学会、Internoise (Ottawa、招待論文)、WESPAC(北京)等で公表し、周知と議論に努めた。また、測定メカニズムに関わる基礎的検討の成果はアメリカ音響学会誌で公表した。
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