研究概要 |
一般に,二次元状の磁性薄膜を作製すると,結晶磁気異方性が大きくない限り,形状磁気異方性の影響で膜面内に磁化が向いてしまうが,膜面直に容易磁化を持つ垂直磁化膜を作製するためには,強磁性合金の析出形状を膜面直に伸びた形状にする必要がある.本研究では低融点マトリクス中に強磁性ナノロッドを作製することを試みる.ここで,まずB203低融点ガラス中にFeをCo-Sputterすることにより,ランダムに混在した膜を作製し,強磁場中で熱処理することによりナノ組織形成にどのような影響を及ぼすかについて調べたところ,磁性ナノロッドの顕著な成長は観察されなかった.これについては,熱処理条件などについて現在検討中である.また,それとは別に相分離系であるFeCrを強制固溶させた状態の膜を作製し,磁場中および通常熱処理を行なったところ,磁場中熱処理の場合には,よりロッド形態に近づく傾向があることが明らかとなった.現在は,より明瞭な垂直ロッド形態を目指して,熱処理や磁場条件,また下地層へのナノ粒子分散膜の適用などの工夫を行なっているところである.
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