レーザ蒸着法・スパッター法のいずれにおいても、『無酸素状態での初期製膜』と『酸素導入による本製膜』をシリコン基板上に行った。酸化マグネシウム(MgO)に関しては、両製法においてMgO(001)単一配向性膜の成長を確認した。高基板温度・高酸素濃度においてエピタキシャル成長が確認されたが、それらの結晶は結晶格子定数が通常のバルクより小さいものであった。インプレーンX線回折による測定から、この結晶は基板垂直・面内方向のどちらにも収縮し、正方晶の結晶系であることを確認した。基板との格子不整合により格子が歪み、面内方向に格子が伸びることで、垂直方向に縮んでいるのではない。 収縮したMgO格子サイズのMgOは高酸素濃度雰囲気という条件で作製されたことから、過剰酸素や欠損等が格子サイズに影響を与えていると考えられる。そこで、第一原理計算によるMgO格子サイズの安定性を調べた。酸素過剰・酸素欠損ともに格子サイズが増加するが、金属と酸素原子がペアで欠損する場合に、格子サイズが縮まることを確認した。
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