交流磁場中で発熱する針状材料は新しい癌治療の医療器具として、発熱特性・生体適合性などが優れた材料が期待されている。本研究はその開発に関するものである。 交流磁場中で発熱する針状材料の設計指針を明らかにするため、金属棒、金属管、フェライトの入った金属管の3種類について、実際の発熱特性を調べ、さらに汎用電磁場解析ソフトJMAG-studio Ver.9.0によるコンピューターシミュレーションで解析を行なった。その結果、実測値とシミュレーション結果がほぼ一致することが確認され、チタン管にMgFe_20_4フェライト磁性粉末を入れた試料について、フェライトが磁場を集束し、金属部のチタン管に渦電流が流れ、電気抵抗の損失による発熱が著しく増大することを確認した。また、急冷されたMgFe_20_4をチタン管に入れることにより発熱特性が向上した。金属の電気抵抗と比透磁率の因子により発熱が影響され、非磁性材料であるTiと磁性材料であるNiについて検討を行ったところ、最適な電気抵抗値を得ることができた。CADを用いて針状器具の角度を変える実験を行ない、実測値との一致が得られた。しかし、CADを用いる場合、シミュレーションのメッシュ数が限定されるため、CADを用いない結果との相違がみられた。これについてはさらに検討を進める。 また、子宮頸部癌の治験に向けた針状器具の開発を行ない、候補のものを数種類作製している。これについては、継続して検討を進める。
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