研究課題
「研究目的」[1]低温で得られた昨年度のNi-Zr-Nb-H系金属ガラスの直流誘起交流変換現象を水素との親和性の高いZr元素比を調整することにより常温でも起こさせることに成功し、IV特性の測定からもプロトントンネリングによる世界初の常温ミリサイズの量子ドット現象に基づく、直流/交流増幅・クーロンブロッケイド現象であることが確認された。更に抵抗RとキャパシタンスCを用いた実装回路を作り常温でのRC効果により、周波数の変調も900-100kHzで可能となり、従来の真空管や半導体と同様の現象を起こすことができた。電流制御法では電子雪崩現象も観察された。SPring8で1の構造解析と原子モデルシュミュレーションの結果、この系はZr_5Ni_5Nb_3の潰れた20面体クラスターに水素が固溶したものであることが判明し、このクラスターが3次元的にネット形成されていることが伺われ、ナノサイズの現象がミリサイズで生じていることが予想される。この金属ガラスは複素インピーダンスの測定の結果、幅1mmで厚さ40μmのリボン材中に幅0.13nmのトンネルを6800万個含有した68μFのキャパシタンスを持つ特異な合金であることも判明し、次世代の半導体の代替となる量子ドット素子への可能性を秘めた材料として期待が膨らみ始めている。目下、FETによる3極整流素子、蓄電・放電現象に着手し始めたところである。なお、水素量がより少ない系では超伝導やバリステック現象も観察され、新しい領域として発展する可能性がある。結果として、「萌芽研究」開始時の予想をはるかに超えた新型素子が実現できつつある。[2]金属ガラスの反射分光スペクトルは窓ガラスからの反射光や400nm以下の紫外領域でのD吸収線の出現が測定データを狂わせ、精密な計測に至っていない。しかし、ラマン分光の測定では、予測に反し、無機ガラスと比較してシャープなピークも現れており、短距離秩序相の変化に起因した新たな領域が生まれそうである。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (8件) 図書 (1件)
T. Phys. : Conf. Ser 144
ページ: 012086-1-4
T. Appl. Phys. 105
ページ: 063715-1-5
Phys. Stat. Sol. (b) 246
ページ: 153-157
Europhys. Lett. 83
ページ: 36002-1-5