研究概要 |
本研究では,He搬送ガスで超微粒子を加速・集束してレーザ援用で選択的に堆積させて機能性マイクロ構造物を製作するプロセスに関する基礎的検討を行った.最初に、グラッシーカーボンを基板として微小丸穴マスクを用いた堆積実験では,転写と分離性が改善されると同時に、マスク上には緻密な非常に良質の堆積物が得られた.また、ラバルノズルを通してHeを搬送ガスとした場合,強集束した高速超微粒子流が得られた.数値解析によれば,搬送ガスおよび金属材料に依存して,ラバルノズル中で微粒子流れの強集束条件は異なり、直径0.1〜10μmの微粒子流はラバルノズルにより強集束する可能性がある.次に、20WのCWファイバーレーザを用いたスポット加熱光学系を製作した。超微粒子堆積物は、10Wで数10μmのスポット加熱により容易に溶融固化した.基板走査により面上に堆積した後にオフラインレーザ照射することにより金属光沢をもつ板状部品を得ることができたが,照射面の収縮により凹状の反りを発生した.この傾向は,異種金属を二層構造に堆積したバイメタル素材に対してはより顕著であった.さらに,リアルタイムなレーザ援用を可能とする超微粒子流-レーザ同軸マイクロノズルを製作しマイクロレーザ逐次焼結に関する検討を行った.Ni微粒子を用いた実験では,パルス照射時間が200msec以下では堆積物は球形状とった.一方,300msec以上のパルスレーザ照射では直径が数10μmの針状堆積物が得られた.堆積物高さは照射回数にほぼ比例する.また,レーザ出力が堆積物の高さと直径に及ぼす影響を明らかにした.さらに,堆積方向を制御することにより分岐構造をもつ樹枝状構造物が得られることを示した.レーザ照射を繰り返しながら直線走査することにより,30°程度に傾斜するオーバーハング構造をもダミーサポート構造を用いずに形成できることを示した.
|