研究概要 |
超音波領域での交流溶接を可能とするためにパワーデバイスとして高出力かつ高速制御可能な第四世代IGBTを採用し、インバーター型の非消耗電極アーク溶接であるTIG(タングステン・イナートガス)を製作した。2次回路側の電圧・電流の変化を測定し,PWM制御回路からの信号に従いアーク電極の正負が逆転すること確認した。また、通常の高周波スタートは用いることができないので、直流電圧を重畳させることで、アーク起動を行う仕様とした。 供試材に純アルミニウムA1050(300mm^l×100mm^w×5mm^t)を用い、ブローホールの発生を促すためにシールドガスにアルゴン-1%水素混合ガスを採用して横向き姿勢で溶接を行った。周波数を不可聴領域の20〜40KHzおよび可聴領域の10〜20KHzにおいて変化させ、周波数の依存性を調査した。また、比較のために通常の溶接機を用いて、60Hzの通常の交流TIG溶接も行った。溶接部のブローホールを透過X線で観察するとともに、各溶接ビードから板厚方向に10断面採取し、ブローホールの量および直径分布を測定し、通常のTIG溶接との比較を行った。 その結果、30kHz以下の周波数が有効であり、ブローホールの数が1/5以下に減少するが、30kHzを超える場合には超音波の減衰が大きく、大きな効果が得られないことが明らかとなった。一方、20kHzを下回る場合には可聴領域となるため、20kHzで溶接することが最も望ましいことがわかった。また、アークスタートでは、電圧・シールドガスの乱れによるアークの不安定な状態の影響し、多くのブローホールが観察された。
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