研究概要 |
半導体としての性質を持つナノ粒子をナノオーダーで自由に配置することが可能になれば、触媒をはじ1め様々な高機能構造体などに応用できる可能性がある。本研究では、DNAの特異性を利用することにより2次元領域にナノオーダーで自由にナノ粒子を酪列させる手法を開発することを目的としている。 本年度の研究では、まず、DNAのハイブリッド形成により網目状の鋳型構造を作成できることを示し1た。しかし、この構造は2本鎖DNAで構成されているために、通常のハイブリッド形成を利用してナノ粒子を配列させることは不可能である。そこで、RecAタンパク質による1本鎖DNAのもぐりこみ反応を用いてナノ粒子を配列させる手法と塩基配列識別ペプチドを用いてナノ粒子を配列させる手法とを開発した。 RecAを用いた手法では、ナノ粒子には金コロイド粒子(直径約5nm)を使用し、チオール基を介して1本鎖DNAと連結した複合体を調製し、その1本鎖DNA部位を相補的な配列を持つ2本鎖DNA(pBluescriptIISK+)にもぐりこませることにより金ナノ粒子をDNA上に配列させ、その後、原子間力顕微鏡(AFM)で観察を行った。その結果、この方法を用いて、設計した位置にナノ粒子を配列させることができた。 一方、塩基配列識別ペプチドを用いた手法では、塩基配列ATATATを認識するペプチドSATB1にナノ粒子 (直径約15nm)を連結し、その後、ナノ粒子-ペプチド複合体を2本鎖DNA(pBluescrlpt II SK+)上に配列させた場合にも、設計した位置にナノ粒子を配列させることができることをAFMで確認した。 今後,今回開発した方法のどちらが優れているか,検討する必要がある。また,これらの手法を用いて,井桁状DNA上にナノ粒子を配列させ,さらに機能を付与するためのナノ粒子の選定も進める予定である。
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