研究課題/領域番号 |
19656214
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
金田 清臣 大阪大学, 太陽エネルギー化学研究センター, 特任教授 (90029554)
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研究分担者 |
水垣 共雄 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (50314406)
満留 敬人 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (00437360)
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キーワード | 固体不斉触媒 / 不斉有機触媒 / モンモリロナイト / カチオン交換 / イミダゾリジノン / ディールス・アルダー反応 / 層状粘土鉱物 |
研究概要 |
不斉合成反応は、医農薬をはじめとするファインケミカル合成に必要不可欠な手段であり、金属触媒を用いない新規合成法の開発は、実用面からもその必要性は高い。不斉有機触媒は常温下で活性を示し、厳密な無水溶媒を必要とせず、生分解性、生体適応性が高いなど、環境調和型反応を実現する新たな触媒として極めて有望である。 本研究では高効率・高選択的な触媒反応を環境調和条件で達成することを目指して、固体無機物が形成する層間を反応場として有効利用する新規な触媒不斉反応システムの構築を行なっている。結晶性無機固体の表面および層間のイオン場および極性場を利用して新規な活性反応場を構築し、従来不可能であった固体触媒による不斉酸化反応までを実現できる実用的不斉触媒の開発のための、ハイブリッド系触媒の設計方針の確立を目指しており、本年度は、無機層状粘土鉱物であるモンモリロナイト層間を利用した不斉有機触媒の固定化を行い、高選択的ディールス・アルダー反応を行った。キラルアミンである光学活性imidazolidinoneの固定化とディールズ・アルダー反応における立体選択性のさらなる検討を行った。モンモリロナイトでは、インターカレーションするゲスト分子や溶媒により層間距離を制御することができ、モンモリロナイトの層間カチオン交換性と柔軟な層状構造を利用して、光学活性imidazolidinoneの固定化に成功した。種々の固定化条件の検討を行った結果、イオン交換法による固定化が最も有効であり、光学活性imidazolidinone塩酸塩を用いると固定化が可能となる。均一系での光学活性imidazolidinoneと同等もしくはそれ以上の触媒活性および、高い不斉収率を達成することに成功した。本反応は不均一系で進行し、触媒調製が容易であることや分離回収も簡便であることから、優れた固体不斉触媒の開発に成功した。
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