研究課題
本課題は新しい固定化遷移金属触媒(固定化シングルサイト錯体触媒)の創製と同触媒の特徴を生かした高選択的有機合成プロセスの構築で、特に「(星型・球状の)特異形状ポリマーの末端結合型の配位子を有する新しい固定化型錯体触媒」の精密設計・創製に焦点を絞って、合成・同定手法の確立を主目的に課題に取り組んでいる。平成20年度の成果は以下の通りである。モリブデンーアルキリデン錯体触媒による環状オレフィン(ノルボルネン)のリビング開環メタセシス重合を利用し、最初に環状オレフィンとコア分子との重合で核を形成させ、後に再びモノマーを添加してコア中心からポリマー鎖を成長させることで(Core first approach)、目的とする主鎖の鎖長・組成のみならず径が揃った高分子量の球状ポリマーを精密合成する手法を確立した。特にポリマーの同定を(TEMやAFMなどにより)詳細に検討し、速報として学術論文にまとめることができた。本手法は置換ノルボルネンを利用する球状ポリマーの精密合成にも有効で、糖鎖置換ノルボルネンを用いることで、糖鎖修飾球状ポリマーの精密合成が可能となった。さらに置換アルデヒドにより重合を停止させると、ポリマー末端(表面)への定量的な官能基導入が可能となることを確認し、特に糖鎖末端(表面)への蛍光分子の導入に成功した。配位子前駆体の導入にも成功しているので、今後は錯体の合成・同定と、この触媒の特徴を生かした(同錯体触媒を用いる回収リサイクルが容易な)触媒反応への応用へ展開したいと考えている。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)
Macromolecules 42
ページ: 899-901
Surface Coatings, M. Rizzo, G. Bruno (Eds. ), Nova Science Publishers, Inc., New York, USA (in press)