今年度の研究は、初年度の結果をもとにして、分離器本体の構造に関する検討・改良をおこない、さらに二種細胞の分離について検討した。 (1)フィルター面積:分離における処理量の増大を目的として、電極フィルターを大きくし、その影響について検討した。その結果、細胞保持率は低下した。その原因はフィルター藤積を大きくした装置に同じ電圧を印加した場合、電極間面積が大きくなり抵抗が減少するため電流値が増大し、ジュール熱やイオン流が分離効率を低下させたと考えられる。装置のスケールアップには、面積を増大させても保持率を維持する装置の開発が必要と考えられる。 (2)装置のデザインの検討:電極フィルター下部の保持液側スペースに細胞がトラップされ、保持液側から回収されない状況があり、長時間電場にさらされ細胞破壊が起き、細抱の回収率が低下した。ぞこで、トラップきれない形状に改良し、回収率の低下を抑制した。また、様々の実験条件により、回収率に及ぼす操作条件の検討を行った。その結果、やはり印加電圧の影響が大きく、低電圧で高効率の分離を行うことのできる装置の開発が望まれる。 (3)MDCK細胞及び3-2H3細胞の混合分離:足場依存性のMDCK細胞と浮遊性の3-2H3細胞の混合系の分離を行った。その結果、どちらかの細胞の誘電泳動力がなくなる周波数において、良い分離効率が得られた。また、二種分離においでは印加電圧や液流速等の操作条件も重要ではあるが、混合系の分離には周数数の選択がもっとも重要な因子であった。
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