研究代表者らが開発したSICREX法(免疫細胞1個由来のわずか数十コピーのmRNAを対象として、RT-PCRによりL鎖とH鎖のHd部分をそれぞれ増幅させ、連続的に無細胞タンパク質合成系を用いることで、マイクロプレート上だけの反応で細胞1個より、抗体分子(Fab断片)を合成できる技術)を用いて、ヒト抗体の網羅的解析を可能にするためのプラットフォーム作りを行うことを目的とし、その基盤作りを行った。まずFab抗体蛋白質の無細胞系による合成を増大させるための反応条件の最適化を行った。次に従来とは異なるプライマー配列を用いることで、より特異性の高い-細胞-RT-PCRを行うことに成功した。さらに効率的な抗体取得を可能にするため、抗原を固定化した磁気ビーズにより、抗原特異的抗体を細胞表面に提示している細胞を濃縮し(プレセレクション)、効率的にモノクローナル抗体を取得する方法を検討した。モデルとしてマウスを用い、ガングリオシドGD3に対する抗体の取得を試みた。その結果、プレセレクションを行うことにより、飛躍的に抗体取得率を高めることができた。このことより同手法をヒトに応用することで効率的なヒト抗体取得が期待できる。
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