研究課題/領域番号 |
19656222
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研究種目 |
萌芽研究
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
川上 幸衛 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (70091345)
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研究分担者 |
井嶋 博之 九州大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (10274515)
境 慎司 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教 (20359938)
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キーワード | 生物・生体工学 / 生体材料 / 再生医療 / 人工指骨 / ナノファイバー / 組織工学 |
研究概要 |
平成19年度は、要素技術の確立を目指し、(1)ハイドロゲル内への自発的な血管網構築手法の開発、(2)シリカファイバーに対する骨芽細胞の親和性に関ずる検討を中心に行い、それぞれに関して以下の知見を得た。 (1)本研究の最終段階では、骨形成細胞を組み込んだ構造体の作製を目指している。このため、これらの細胞のライフラインとなる血管様ネットワークをコラーゲンなどの細胞外マトリックス中に効率的に形成させ得る手法の確立が不可欠である。これを実現するために、ゼラチンとアルギン酸から作製されるゲルファイバーの中に血管内皮細胞を包括し、そのファイバー表面を平滑筋細胞で被覆した後に、コラーゲンゲル内に埋入した。その後、このファイバーを分解することで、生体の血管と同様に平滑筋と血管内皮細胞から構成される構造体を作製することを試みた。その結果、上記の2種類の血管構成細胞の二層構造からなる血管様構造体を作製することに成功した。しかしながら、この構造体から周囲のコラーゲンゲル内への毛細血管様構造体の自発的な形成は確認されず、次年度にはこれを解決することを目指した検討を新たに行う必要があることが明らかになった。 (2)本研究では骨主成分であるアパタイト形成誘導能を有するシリカからなるファイバーを利用することにより、より骨に類似した構造体を作製できるものと考えている。そこで、これまでは接着および増殖性のみしか評価していなかったシリカファイバーと骨細胞との親和性を、骨芽細胞から骨細胞への分化を観察することで評価した。 その結果、エレクトロスピニングシリカファイバー上で培養されたヒト骨芽細胞(MG-63)は培養約1週間で骨細胞への分化のマーカーとして知られるアルカリフォスファターゼ活性を強く発現し、シリカファイバーが骨細胞に分化する骨芽細胞に対して高い親和性を有していることが明らかとなった。
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