研究課題
本年度は、構造や組成の異なる様々な鉱物のペプチド生成反応に対する触媒作用を相対湿度制御下で調べて比較・検討することで、鉱物表面でのペプチド生成に対する相対湿度の影響やメカニズムを明らかにすることを目的とした。今回検討した鉱物は、結晶構造と化学組成の異なる粘土鉱物のうち、カオリナイト、バイデライト、ヘクトライト、ノントロナイトであり、全ての鉱物でアミノ酸重合の触媒効果が認められた。しかし、Mgを主成分とするスメクタイトの一種であるヘクトライト以外の粘土鉱物のペプチド生成量はどの実験条件でも低く、相対湿度の影響はほとんど認められなかった。これらの結果から、異なる鉱物で認められた触媒能の違いは、層電荷の有無や3次元的な構造の差異によるものではなく、化学組成が異なることによる鉱物端面の結晶化学的違いによるものと推察した。ヘクトライトでは、ペプチド生成に対する高い1触媒効果が認められ、相対湿度を低くするほどペプチドの生成量は増加していたため、相対湿度を低く制御することがアミノ酸重合反応に有効であることが明らかとなった。また、相対湿度を制御してヘクトライト表面の触媒活性をコントロールすることでDKPの生成が抑えられ、その結果、ジグリシンの生成量が多かったものと推定される。相対湿度制御によってDKPの生成が抑制されることは、より長い直鎖のトリグリシンやテトラグリシンさらに長いペプチドを生成させる可能性をも示唆していると考える。
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