研究概要 |
本年度は主として二つのことを行って以下のような成果を得た. 1 申請者らが開発した半無限均一岩体に対する地下水流動場評価法を用いて,岐阜県東濃地区の傾斜データから地下水流動場を評価し,さらに不均一な地下水流動場を仮定したモデル解析により評価精度が何に依存するのかを検討した.その結果,(1)東濃地区の立坑掘削に伴う地下水流動は,深度が160mまでは,遮水性のある二つの断層の影響を直接受けて主としてこの二つの断層間で生じたが,深度が深くなって花崗岩まで達すると,二つの断層を横断するように地下水の体積変化が生じたことから,二つの断層の透水特性が堆積岩と花崗岩では異なると推定された.また,(2)現場と同じ傾斜計配置を採用した不均一流動場に対するモデル解析から,傾斜計の配置方向と垂直な方向の評価精度が悪いこと,ならびに傾斜データの変動の平方根または傾斜データの総和が大きいほど逆解析結果の精度が高くなることなどがわかった. 2 凹凸のある地表面を有する不均一岩体の地表面傾斜量に関する有限要素法を用いた計算コードを開発し,その計算誤差が2.5%以下であることを明らかにした.また,上下2層の半無限岩体の場合,地表に凹凸がある均一岩体の場合ならびに地表に凹凸がある2層岩体の場合について有限要素解析を行い,それらの地表面傾斜量に及ぼす影響について検討した結果,半無限均一岩体を仮定した場合の地表面傾斜量には最大で30%の誤差が含まれることを明らかにした.
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