研究課題
緊急被曝災害時やその他の不慮の被曝時の被曝者の選別と被曝線量の計測、あるいは医療被曝や職業被曝の健康管理のため、有用なバイオドジメトリー(被曝した生体の材料を用いて被曝線量を計測する方法)の開発は有用である。従来、バイオドジメトリーは染色体異常などの体細胞遺伝学的手法を用いる方法や電子共鳴スピンによる歯での測定(抜歯が必要)、あるいはDNAマイクロアレイなどが試されてきた。それぞれの方法には一長一短があるが、被曝可能性のある大量の人々を短期的に健康管理上での測定を繰り返し行なったりするためにはひとつの指標で完璧であるというバイオドジメトリーのマーカーは存在しない。そこで、幾つかの組み合わせで被曝者の被曝線量を推計することが必要となる。また、当然、物理化学的な方法(フィルムバッジや線量計などでの線量測定や漏洩放射能量などの推計)が大きな参考になることは言うに及ばない。本研究では、新しいバイオドジメトリーの標的分子としてRNAに注目した。近年の研究ではゲノムの80%以上の領域が転写されていることが判明している。多くのそういったRNAはジャンクと考えられていたが、最近の研究により、細胞核内で重要な役割を担っていることが次第に明らかになっている。そこで、本研究では、今までに開発されたことのないバイドジメトリーのためのRNAマーカーの開発を目指そうと考えて、本研究計画の初年度にヒト培養細胞を材料としたmicroRNAに対応するcDNAライブラリーを作成した。ライブラリーは電離放射線照射後経時的に採取したサンプルから調整した。そのことにより、電離放射線で発現が増加するか、あるいは減少するmicroRNAが見つかるのではないかと考えて、現在、塩基配列を決定することによるスクリーニングをおこなっており、研究計画二年度目に研究成果が期待される。
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