研究課題
萌芽研究
水素は燃焼すると水だけが残り、二酸化炭素を放出しない環境低負荷のエネルギー資源である。水素をエネルギー資源として利用するためには、高密度にする必要があり、従来、低温によって液化する方法や、高圧によって高密度流体化する方法、水素吸蔵合金を作製する方法などが検討されてきた。しかしながら、これらの方法は目的物の製造や貯蔵に、また、水素の吸蔵/放出に大きなエネルギーを必要とする。近年、水素がメタンハイドレートと同様の包摂水和物を形成することが報告され、この包摂水和物の水素貯蔵媒体としての可能性が注目されている。水素の場合、分子サイズが小さいため、種々の氷多形構造の水分子ネットワークの間隙に入り込み、包摂水和物より高密度の水素吸蔵氷物質群が形成される可能性がある。本研究では、氷構造の水素吸蔵能力をいかし、氷構造の多様性を利用して高密度水素吸蔵氷物質を作成し、それらの基本物性を明らかにし、水素エネルギー輸送・貯蔵媒体としての利用技術開発を行うことを目的とする。平成19年度は、まず室温下で、90万気圧までの高圧実験を行った。水素ハイドレートは約1万気圧でfilledice II構造が生成し、約3.2万気圧でfilled ice Ic構造に転移することが知られていたが、この高圧相が35万気圧で構造がわずかに変わり、そしてこの相が90万気圧にも及ぶ高圧まで存続することが明らかとなった。35万気圧での構造変化を調べたところ、構造のフレームワークをなす水分子は、35万気圧までは水素結合をしているが、35万気圧以上では、水素結合の対称化が生じ、もはや分子性が失われ、イオン性となり、構造が強化されることが示された。この、構造の強化が、90万気圧という高圧までの安定性を保証していることが結論付けられた。
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