研究概要 |
本研究では,太陽光を直接利用してレーザー発振する太陽光励起レーザー光を"エネルギーキャリア"と捉え,その電気への高効率エネルギー変換システムの有力候補の1つとしての「太陽光励起レーザー駆動MHD発電の実現」を研究全体構想として抱いている。その実現のためには,太陽光励起レーザーそのものの高度化が本質的な課題であることは明白であるが,本研究では,太陽光励起レーザーによる希ガス加熱を衝撃波管装置により模擬し,準定常作動高温希ガスプラズマMHD発電機の基礎物理現象と発電性能を実験的に明らかにし,高性能「太陽光励起レーザー駆動MHD発電機」となり得る潜在力を見極めることに焦点を絞っている。 初年度(平成20年度)は,特に,最も本質的な「高温希ガスプラズマMHD発電機の基礎物理現象の把握」に注目し,1)代表的な気体作動条件(よどみ点温度:8,000〜10,500K,圧力:〜0.2MPa)の下で,発電機としての基本特性である電圧-電流特性を明らかにした。また,2)発電機内プラズマの発光強度およびその変動と発電特性との関係を明らかにした。結果として,シード剤を用いない高温の希ガスプラズマを用いて,従来のシードプラズマMHD発電機に匹敵する性能が実証されるに至っている。 運転条件の最適化や更なる高性能化,また本方式の将来性の見極めは,数値シミュレーションからの性能評価,高性能化への指針を得て,本研究の最終段階となる来年度(最終年度)に行うが,今年度得られた結果は,全世界で長い研究経緯をもつMHD発電研究の中で,全く類を見ない独創的成果となっており,達成しようとする研究成果の確実な基盤を築いたといえる。
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