研究課題/領域番号 |
19657007
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
日浦 勉 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (70250496)
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研究分担者 |
工藤 岳 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授 (30221930)
笠原 康裕 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (20273849)
彦坂 幸毅 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 准教授 (10272006)
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キーワード | 大規模野外実験 / 光合成 / 窒素 / 植食者 / 林床草本 / フェノロジー |
研究概要 |
温暖化を行った樹木の林冠葉の光合成特性を調べた。コントロールに比べ、温暖化処理は光合成速度・呼吸速度に有意な効果をもたなかった。一方、葉内CO2濃度や窒素含量(葉面積あたり・葉重量あたり両方とも)には有意差が見られた。また、光合成の窒素利用効率(窒素あたり光合成速度)にも有意差が見られ、光合成特性に影響があることが示唆された。ただし、これらの効果は予測とは逆で、処理個体のほうが葉内CO2濃度や窒素含量が低かった。この原因は明らかではない。 2006年10月から1年間、温暖処理区と対照区の土壌において真正細菌の16SリボソームDNA遺伝子を対象としたPCR-DGGE解析の結果、両区の微生物群集構造に顕著な違いは観察されなかった。一方で、ゲルのバンド強度に違いがみられることから、細菌の活性や個体数が変化していると考えられた。 除雪処理により春植物の開花時期を早める実験を行った。エゾエンゴサクの開花時期は除雪処理により10日ほど早まり、その結果、結実率は対照区に比べて有意に低下した。春植物における開花の早まりは、花粉媒介者(マルハナバチ)の訪花頻度を下げ、花粉制限を引き起こすことが実験により確かめられた。 地下部温暖化がミズナラ林冠部の葉形質と食害度に与える影響を解明するために6月と8月に調査を行った。LMAは林冠上部に行くにつれ増加するが地下部温暖化の影響は受けなかった。しかし一方、葉の窒素含有量は減少し、さらにC/N比は増加した。そのため、地下部温暖化は食害度に間接効果を与え、6月と8月において食害度が低下した。
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