研究課題/領域番号 |
19657010
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
松田 裕之 横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 教授 (70190478)
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研究分担者 |
田中 嘉成 国立環境研究所, 環境リスク研究センター, 室長 (60338647)
山口 典之 東京大学, 大学院・農学生命研究科, 科学技術振興特任研究員 (60436764)
加茂 将史 産業技術総合研究所, 安全科学部門, 若手育成型任期付研究員 (90415662)
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キーワード | 進化生熊 / 保全生熊 / 生熊毒性 / 個体群管理 |
研究概要 |
対象種のみに注目した従来の個体群管理から生態系管理の理論と方法を開発するに当たり、さまざまな将来予測モデルを各自が開発した。白木原は日本近海の絶滅危惧種であるスナメリの分布調査と個体数推定法の研究を進めた。勝川は昨年に引き続いて不確実性と環境変動を考慮した生物学的許容漁獲量の算定規則のリスク評価研究を進めた。牧野は知床世界遺産地域での沿岸漁業における生態系アプローチの必要性と有効性を吟味し、日本型の漁業権制度が順応的管理を進める上で有効性を持つことを示しつつある。雨宮は昨年に続いて湖沼生態系の富栄養化に関する回復力の数理モデルを構築し、多重安定性に関する知見を進めた。小池は都市近郊環境における鳥の生息地分断が鳥個体群の餌環境への影響を評価し、空間生態学的リスク評価理論の地平を開いた。酒井はミレニアム生態系評価総合評価書の翻訳を出版するとともに生態系保全の意義を生態リスク管理の観点からまとめた。松田は被食者・捕食者系の数理モデルを用いて海洋保護区(MPA)を設定した場合の共存平衡状態の安定性条件を解析し、MPAが不確実性に頑健で資源管理に有効であることを示した。 生態系管理に万能の方法はない。しかし常識的に指摘されているさまざまな方途の有効性を限られた具体例、数理モデルで示すことは可能である。海洋保護区の有効性、生息地分断化の危険性、漁業における自主管理の経済学的有効性などを示すことができた。来年度は引き続き、それぞれの分野における順応的管理(フィードバック制御)の有効性と限界について明らかにする。
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