研究課題
(1)転写開始点(TSS)を網羅的に解析するは、まずCap-trapper法などの方法で完全長cDNAを作成し、次にその5'末端部分をシーケンシングする必要がある。しかし、この方法では、数十万規模のTSS情報を得るのに、莫大な経費が必要になる。申請者は、TSSの網羅的解析を廉価に行うため、CT-MPSS法と名付けた新しい実験手法を開発した。原理としては、完全長cDNAの作成法であるCapTrapper法と、一度に最大100万クローンの短鎖配列を同時並列的にシーケンシング処理出来るMPSS(Massively Parallel Signature Sequencing)法を組み合わせたものある。(2)CT-MPSS法を用いて、シロイヌナズナの完全長cDNAの5'末端タグ配列を約38万解析したところ、そのうちの約16万タグがそれぞれゲノム上の特定の一カ所にマップ出来た。これは植物のTSSデータとしては現在のところ世界最大の規模であり、また、定量的な解析のできる唯一のデータセットである。(3)上記で得られたシロイヌナズナのTSSデータを解析したところ、次のような知見が明らかになった。・高等植物のコアプロモーター領域では、ヒトやマウスのコアプロモーターにはみられない配列要素やコンテキストが使われている。・動物ゲノムの転写開始領域に頻出するCpGアイランドが植物ゲノムでは見出されず、動物のCpG配列に相当するニッチを植物ではピリミジンに富んだ配列が占めている。(4)本研究で蓄積されつつある植物の転写開始点とプロモーターの配列情報を公開するため、Ppdbと名付けたデータベースを作成した。2007年6月末からの半年間で、世界49カ国から約100,000件のアクセスがあった。
すべて 2008 2007 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (7件) 備考 (1件)
Nucleic Acids Res 36
ページ: D977-981
ページ: 311-318
Nucleic Acids Res 35
ページ: 6219-6226
BMC Genomics 8
ページ: 67
現代化学 436
ページ: 46-47
http://ppdb.gene.nagoya-u.ac.jP