研究課題
本研究は、共生状態と単独状態の藻がどのように違っているかを網羅的に調査することで、共生関係を藻の側から明らかにすることを目的とした。平成20年度は、シアノバクテリアを共生藻とする地衣類(モミジツメゴケ:Peltigera polydactylon)15112701株および15110501株由来のシアノバクテリア(それぞれ1189P株および1190P株)を用いて、共生藻にとっての「共生」を実現させている因子を絞り込み特定していくため、以下のように進めた。1.共生シアノバクテリアの種の同定(16SRNA系統解析、窒素固定酵素遺伝子nifD遺伝子の系統解析)の結果、Nostocに近縁であり、窒素固定能の解析の結果、共生状態と単離状態との間に窒素源獲得能に違いが見られた。菌体との共存がシアノバクテリアの窒素固定能へ与える影響について考察し、これらの結果を現在投稿論文として纏めている。(鈴木、原、岩崎)2.共生シアノバクテリアの光合成活性について、共生状態と単離状態との違いを比較した結果、地衣体内CO_2が光合成活性へ与える影響を無視できないことが明らかになった。この結果について現在投稿論文として纏める作業を行っている。(岩崎)3.予備的なトランスクリプトーム解析として、入手可能なDNAチップ(NostocPCC712,3-4kbDNA断片のマイクロアレイ)を用いて、転写産物のハイブリダイゼーションに与える塩類濃度の条件検討および解析に必要な先行実験を行った。まだ、洗いの条件に多少の問題を残しているが、これらの条件検討の結果を踏まえ、さらに研究を進める。(原、鈴木、岩崎、小西)
すべて 2008
すべて 学会発表 (1件) 図書 (1件)