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2008 年度 実績報告書

化石DNA解析によるハイマツ・キタゴヨウ間の遺伝子浸透の進行過程の推定

研究課題

研究課題/領域番号 19657029
研究機関千葉大学

研究代表者

綿野 泰行  千葉大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70192820)

キーワード浸透性交雑 / マツ属 / PCR / 化石花粉 / 葉緑体DNA / C14年代測定 / ハイマツ / 蔵王
研究概要

東北南部の蔵王山系においては、キタゴヨウのミトコンドリテDNAがほぼ完全にハイマツ由来のものに、ハイマツの葉緑体DNAがほぼ完全にキタゴヨウ由来のものに置換されている。このような大規模な遺伝子浸透がどのような時間スケールで成立したのかを明らかにするために、高層湿原においてボーリングを行い、各層のボーリングコアに含まれる花粉化石からDNAを抽出し、過去の花粉の組成を明らかにする実験方法の確立を試みた。土壌サンプルはC14同位体分析の結果、最大で約3000年前であった。土壌サンプルから、花粉を濃縮する方法を検討し、2枚のフィルターの間に残った粒子を用いる方法を採用した。土壌からDNAを抽出する方法を検討し、ISOIL for Beads Beatingを使用した。PCR増幅用のプライマーは葉緑体のいくつかの領域で、キタゴヨクとハイマツ間に変異がある部分に短い断片が増えるように設計した。土壌DNAのPCRはAmpdirectを用いることで増幅できた。SSCP法による多型解析を行ったが、SSCPの偽バンドのため、低頻度の種の花粉の有無を決定することが困難であることがわかった。そこでリアルタイムPCR法によって二種の花粉DNAの相対濃度を測ることを試みた。この結果も実験結果の再現性に乏しく、各層準における信頼できる二種のDNAの相対濃度を決めるには至らなかった。本研究によって高層湿原のボーリングコアサンプルから約3000年前の花粉DNAを抽出し、PCR法によって葉緑体DNAを増幅する方法を確立することができた。今回よりもさらに深い層準の解析を行い、花粉組成が逆転するようなことがあれば、今回の方法でも有効であると考えられる。また比較する種のDNA変異が大きければSSCPによる偽バンドの問題は回避できる。この成果は、花粉化石DNAを用いた種組成の解析に発展することが期待される。

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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