研究課題
概日リズムは、原核細胞からヒトまで、地球上のほとんどの生物に見られる約24時間周期の生物時計である。我々は、サーカディアンリズム(概日リズム)の発振に必須な時計タンパク質ピリオド(タンパク質をPERIOD、遺伝子をperiodと表記)に、複数の選択的スプライシングが存在し、このため8〜12種類のバリアント(アイソフォーム)が存在すること、そして、これらの発現が朝方と夕方の2回発現ピークを持った二峰性を示すこと、これらを世界に先駆けて明らかとした。本研究では、ショウジョウバエにおける「朝」「夕」の活動リズム発振の仕組みを、PERIODアイソフォームが担っているという作業仮説を証明することを目的とする。平成20年度には次のような成果を得た。(1)PERIODがTIMELESSとともに発現調節する概日リズムペースメーカーホルモンPDFの遺伝子pdf mRNAにもアイソフォームが存在することが判明した。(2)pdf mRNAのアイソフォームの発現にも、朝にピークに達するもの、夕にピークに達するもの、そして、朝と夕の両方にピークを持つものが存在することが明らかとなった。また、朝と夕の中間にも小さな発現ピークを持つものがあることが明らかとなった。(3)pdf mRNAのアイソフォームの発現では、PDFペプチドにアイソフォームはなく、PDFと同じ遺伝子にコードされるペプチドPAPにアイソフォームがあることが明らかとなった。このように、発現がPERIODアイソフォームのリズムに酷似していることより、朝夕の活動リズムを示す同じニューロンに発現しているものと思われた。一方、こうしたニューロンを同定するため、まずin situハイブリダイゼーションを試みたが、これらのアイソフォームを異なるニューロンに同定するには至らなかった。今後、こうしたニューロンの同定が必要である。
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Peptide Science 2008
ページ: 517-518
Journal of Biochemistr (in press)
Comparative Biochemistry and Physiology 151B
ページ: 456