研究概要 |
ユビキチンは真核生物に高度に保存された低分子量(8.6kDa)タンパク質であり、E1、 E2、 E3の3種の酵素反応によって標的タンパク質のLys残基に結合される。さらに、ユビキチン内のLys残基を介してユビキチンが連続的に結合されることにより、標的タンパク質がポリユビキチン化される。このようなポリユビキチン鎖には、タンパク質分解シグナルとなるLys48結合型や、分解シグナルとしては機能しないもののシグナル伝達やDNA修復などに関与するLys63型などが見いだされていた。我々はこれまでのポリユビキチン鎖形成の概念を凌駕するユビキチンのN末端α-アミノ基を介する直鎖状ポリユビキチン鎖を形成するユビキチンリガーゼを同定したので、直鎖状ポリユビキチン鎖の生成を特異的に検出する方法開発を行った。その結果、本研究課題として昨年度作製した直鎖状ポリユビキチン鎖に対するペプチド抗体のうち、ユビキチンのC末端6残基とN末端6残基を2回含む24-merのペプチド抗体が直鎖状ポリユビキチン鎖を検出可能な抗体であることが解った。さらに、同抗体にて炎症性サイトカイン(IL-1β)刺激によって細胞内で内在性のNEMO(NF-κB essential modulator, IKKγ)が直鎖状ポリユビキチン化されることを検出した。 これらの研究成果はNature Cell Biology誌に発表し、同誌のNews and Views、Nature Review Molecular Biology誌のHighlight、Science Signaling誌のEDITOR'S CHOICEにて紹介されるなどの反響を得ている。
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