本年度研究計画1)p53四量体形成ドメイン変異体cDNAライブラリーの作製とスクリーニングに関して、ランダムオリゴプライマーを用いてMycタグ-p53四量体形成ドメインペプチド(p53TD)およびp53TD-HAタグをコードするcDNAライブラリーをPCR法によって作成し、それらを鋳型にin vitro transcriptionによってmRNAライブラリーを作製した。C-末端にHAタグを含むp53TDをコードするmRINAライブラリーについては、3'-末端にピューロマイシンを含むオリゴヌクレオチドをT4RNAリガーゼを用いて共有結合させた。これらmRNAライブラリーをHisタグ-野生型p53TDをコードするmRNAとともに、コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系で同時に翻訳し、合成されたペプチド混合液から、抗His抗体磁気ビーズを用いてHisタグ-野生型p53四量体形成ドメインペプチドと複合体を形成したペプチドを除去し、さらに抗Myc抗体磁気ビーズに結合しないペプチドを除去した。抗Myc抗体磁気ビーズに結合したMycタグ-p53TDペプチドと複合体を形成しているp53TD-HAペプチドのC-末端にピューロマイシンを介して付加しているmRNAを鋳型として、HAタグに対する特異的プライマーを用いて逆転写反応を行った。その後、p53TD-HA領域をコードするcDNAをPCRによって増幅し、His-野生型p53TDとは四量体を形成できないが、Myc-p53-TD変異体とは複合体を形成できるp53TD変異体ペプチドをコードするDNA配列を決定した。この過程を繰り返すことで、野生型p53とは四量体を形成できないが、変異体同士では四量体を形成できるホモ四量体形成p53変異体の候補配列を、数種類得ることができた。 これら得られたp53TDドメインペプチド配列を含む全長p53と野生型p53との四量体形成能およびp53変異体の転写活性化能を検討するために、二種類の蛍光融合タンパク質p53間に起こる蛍光エネルギー移動によって四量体形成能を解析する実験系および生細胞を用いてp53の発現量と転写活性を同時にモニターできる実験系を構築した。
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