細胞周期制御においてユビキチン依存性タンパク質分解の果たす役割は大きいといわれているが、まだ多くの細胞周期制御に関わる分子群のE3は末同定である。細胞周期の制御メカニズムを明らかにするためには、これら制御分子毎のE3を調べる必要があるが、現在までにこれを網羅的に解決する方法論は存在しなかった。われわれは最近、レトロウイルス型shRNAを用いた種々のCullin型E3のコンポーネントのノックダウンにより、対応する基質の分解が阻害され蓄積することを明らかにした。そこで段階的・網羅的ノックダウンを行うことにより、サイクリンDをはじめとする多くの細胞周期関連因子のE3を発見する方法「逆トーナメント式ノックダウン法」を考案した。本研究では、逆トーナメント式ノックダウン法を用いることによって、細胞周期に関わる多くの重要な制御分子のE3を明らかにし、さらにはこれら酵素・基質関係により制御される生命現象を解明することを目的とする。まずSCF^<SKP2>複合体により分解されることが知られている細胞周期抑制因子p27の発現量の変化を調べてみたが、Rbx1およびCul1の発現を抑制した細胞株においてSkp2の発現が亢進することより、この研究法の正当性が検証できた。そこでサイクリンやCKIの発現量をRbxやCullinの発現抑制株を用いて検討している。さらには基質認識サブユニットに対するshRNAベクターを作製して、その発現抑制効果をRT-PCR法を用いて検証している。Cullin特異性が明らかになれば、次に個々の基質認識サブユニットをノックダウンした細胞株を用いて発現量を調べていく予定である。
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