研究課題
生体内部にある細胞または細胞集団の働きや相互作用、特に発生後期や発生後におけるもの働きを解析しようとする場合、問題の細胞を取り除く、いわゆるCell ablation実験が有効な解析法となる場合が多くある。これまでに、レーザーを用いて細胞を焼き殺すという方法や、遺伝子工学的な方法を用いてトキシン遺伝子を生体で発現させる方法などが行われてきたが、細胞を除去する信頼性の高い、簡便な方法はないのが現状である。本研究では近年新たなドラッグデリバリーシステム(DDS)として注目されているプロドラッグを利用して、細胞集団を発生中や発生後の任意の時期に除去できる新たな方法の構築と、発生・再生解析への応用を模索することを目指した。ここで用いたニトロリダクターゼ酵素(NTR)とプロドラッグを用いた方法はゼブラフィッシュ胚における細胞の除去が可能なシステムとして有効であることが示唆されているが、多様な組織や発生ステージでの有効性に関しては明らかになっていない。そこで、本研究では、細胞ニトロリダクターゼ(NTR)とプロドラッグを用いた細胞除去システムを、成体を含めた様々の生体内の系で一般的に使うことのできる方法として確立するための研究を進めている。本年度の研究では、1.トランスポゾンベースのベクターを用いた遺伝系統作製の迅速化、2.再生時に誘導される遺伝子のプロモーターをモデルとしたテストコンストラクトの作製、トランスジェニック系統の作製、の2点について研究を進めたが、再生のような複雑な制御を含む遺伝子では多くの場合、遺伝子の5‘上流だけでは充分な発現の再現が困難であることがわかった。そこで、BAC組み換えを用いた方法でコンストラクトを作製したところ、良好な遺伝子発現の再現が見られた。遺伝子移入系統作製の効率では少し劣るが、BACなどを用いて広範囲のゲノム領域を含むコンストラクトを作製し、内在性の遺伝子制御を完全に再現する系統の作製を進めている。
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