研究課題/領域番号 |
19657072
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
杉浦 昌弘 名古屋市立大学, 大学院・システム自然科学研究科, 名誉教授 (80027044)
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研究分担者 |
中邨 真之 名古屋市立大学, 大学院・システム自然科学研究科, 研究員 (60322145)
稲葉 桂子 名古屋市立大学, 大学院・システム自然科学研究科, 研究員 (40448709)
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キーワード | 葉緑体 / 共生 / ラン藻 / 翻訳 / mRNA / 進化 / in vitro系 |
研究概要 |
葉緑体はラン藻様の光合成原核生物が宿生細胞に共生して生じた。この祖先原核ゲノムは、一部を葉緑体に残し大部分は核に移行した。我々は、翻訳系の変化に対応できなくなった遺伝子が核に移行したという「翻訳不適合」という考えに至り、この説の検証を我々の改良タバコ葉緑体in vitro翻訳系を用いて試みた。 1.タバコ核由来のrbcS mRNAの翻訳速度の測定(中邨) 核と葉緑体の翻訳開始の機構は全く異なるので、核のmRNAを葉緑体で翻訳させるためには5'UTRと3'UTRを葉緑体のものと置換する必要がある。rbcS mRNAはトランジット配列と成熟SSをコードするので、SSコード領域のみを葉緑体のrbcL mRNAのLSコード領域と置き換えたキメラmRNAを作製するための素材作りを行った。次いで、rbcL mRNAの翻訳速度をin vitro系で蛍光リジンtRNAの取込みで測定した。このmRNAは1.8kbにもなる大きなものでin vitro系では翻訳されにくいことがわかったので、3'末端側を決失させて翻訳効率を上げることとした。 2.対照実験としての他種のmRNAの調査と調製(長谷川、杉浦) 上記の実験結果の評価には、対照実験が必要であるとの考えに至った。そこで、対照実験用mRNA種としてどれが適当か調査し、葉緑体コードのリボソームタンパク質S2と対応する核コードのリボソームタンパクの遺伝子を調べたが配列決定されているのが少なく、我々がクローニングしたリボソームタンパクL23を一応の候補とした。また、翻訳開始因子IF-1はタバコ葉緑体では5'末端が壊れており偽遺伝子化していて、核ゲノムに機能する遺伝子が移っているので、葉緑体の方をAUGを加えて翻訳できるかどうか、核コードのIF-1コード領域が葉緑体の5'と3'UTRに入れ替えて翻訳可能かどうかを調べるのが良いと思われる。
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