研究概要 |
高温下での発汗機能を詳細に検討するためには,単一汗腺がどのような仕組みで適応し,それが全身での発汗機能とどのように関係しているのかの再評価が必要となる.本研究では,単一汗腺活動測定のための新しいシステムを開発し,それをもとにその活動を評価することを目的とした.汗の連続測定システムとして,換気カプセルを皮膚に貼付し,そのカプセルに空気を流入させ,カプセル内から出た空気の湿度を高分解能マイクロセンサーで計測し,汗の変化を測定した.カプセル内には単一汗腺を測定するため直径1mmの穴の開けた.すべてのデータはデータロガーを介して,パーソナルコンピュータに取り込んだ.これらのシステムは有限会社スキノス技研の中島浩二氏(研究協力者)と共同開発した. 単一汗腺の同定には,手掌と前腕の2部位を用い,手掌は精神的発汗が見られる部位で,常に汗腺の活動を判定することができる.一方,前腕部は運動や高温下で発汗がみられる.そのため,この部位での発汗活動同定には35℃での安静状態とした.各部位においてヨウ素澱粉反応(皮膚に塗ったヨウ素と汗が反応するため,汗腺を斑点として判別できる)により単一汗腺を視覚化し,その汗腺に前述のカプセルをあて,単一汗腺活動を記録した.各カプセルを単一汗腺にあてる場合,カプセル上部埋め込んだレンズを用いて皮膚を拡大して実施した.この方法により,単一汗腺の活動を一部は記録できたが,単一汗腺へのカプセルの密着,湿度センサー回路の安定性の問題が残り,これらを改善し,さらに精度の高いシステムを構築することが課題となった.
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