研究課題
低分子RNAはしばしばPTGSの誘導に重要な役割を果たしており、特に、トランスポゾン由来の低分子RNAは宿主側の防御機構によるゲノム寄生因子の不活性化とその維持に関与することが明らかにされている。一方、申請者はトランスポゾン由来の低分子RNAがこれまでのケースとは逆に遺伝子サイレンシングを抑制する機構への関与を示唆するデータを得た。この発見によりトランスポゾンが低分子RNAを利用して宿主の遺伝子サイレンシング機構を回避する経路の存在が想定される。平成19年度はトランスポゾン由来の低分子RNAがトランスポゾン等の繰り返し配列のヘテロクロマチン化に関わる因子を標的とすることを実験的に検証した。具体的には低分子RNAによる標的遺伝子の切断を5'RACE法により確認した。この結果、低分子RNAによる制御の根拠となる部位において標的遺伝子の切断が生じていることを確認した。また、トランスポゾン由来の低分子RNAがトランスポゾン等の繰り返し配列のヘテロクロマチン化に関わる因子を標的とすることの普遍性を様々な野生イネで解析した結果、この制御がイネ属の中で普遍的であることを明らかにした。また、この過程で、この制御がイネ属の進化に一定の役割を果たしたことを示唆する結果を得た。さらに、低分子RNAにより制御される因子の発現をin situハイブリダイゼーション法により解析した結果、分裂組織を含む多くの組織で発現していることを確認した。この結果を受けて、低分子RNAによる制御がどこで行われているのか確かめるためのGFPを用いた低分子RNAセンサー植物を作成した。
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