東京都内における大規模な人工的都市緑地である国営昭和記念公園(立川市)において、変形菌の分布調査・同定を行い13種を確認した。さらに公園内の緑地の形態(舗装地・裸地・草地・樹林地など)によって、変形菌の出現状況が変わることを明らかにした。変形菌の分類に関する基本的なリレーショナルデータベースの構造を検討し、科名・属名・和名・学名・検索表の比較分類根拠・特徴記述などの項目を設定し、一部入力を開始した。変形菌の標本データベース(国立科学博物館筑波実験植物園より許可を得て貸与された)を分析し、都内緑地における発生状況の傾向を明らかにした。変形菌の生態的特性について分析し、チョウおよびゴミムシと比較した環境指標生物としての特性について考察し、都市緑地の管理状況を把握できる可能性を指摘できた。以上について、日本造園学会の学術誌「ランドスケープ研究」に投稿し、査読採択された。(現在印刷中で平成20年5月に学会発表の予定である。)変形菌研究会と研究協力の合意が得られ、今後変形菌に関する画像データベースを作成することになり、その準備的な構造検討作業を行った。国営昭和記念公園においては、変形菌の分布調査を継続しており、学会投稿時以降、さらに3種を確認できた。国営昭和記念公園花みどり文化センターにおいて、「昭和天皇と南方熊楠の展示」において変形菌について市民に分かりやすく伝えるパネルをデザインし、平成20年度より1年間展示公開する。
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