本研究の目的は、都市近郊において分布する各種緑地において、その保全管理実態と、そこで発見される変形菌との関係を解明することによって、変形菌を都市緑地保全管理のための指標生物として活用できる可能性を検討することである。あわせて、変形菌に関する環境学習を通じて公園緑地における環境教育の可能性について検討した。昨年度学会発表した成果に基づき、本年度の研究成果概要は以下のとおりである。(1)日本変形菌研究会の協力により、変形菌の同定を支援するための「変形菌データベース」の開発をすすめ、現在日本で最も充実した変形菌の図鑑である「日本の変形菌」の情報を、著者である山本憲之氏の許可を得て入力した。望ましいデータベースの構造をリレーショナルデータベースであると判断し、補遺も含めた全掲載種について画像データベースの構築を行った。代表的な種については、標本の実体顕微鏡写真画像をリレーションした。現在このデータベースに種の同定を支援する検索ルーチンを付加することを検討している。(未発表)(2)日本変形菌研究会とともに、公園・自然地の緑地において変形菌の採集を行い、環境との関連を考察した。(3)地理情報システム(GIS)により、国立科学博物館および変形菌研究会の管理する標本採集地と種分布の関係を空間解析中である。(未発表)
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