研究概要 |
アブラナ科植物、ナス科植物、キク科植物の数品種を用いて、芽生えの胚軸における遠赤色光、赤色光、青色光、可視光、紫外線(BL)の照射によるアントシアニン蓄積を調査した。カブ、キャベツ、カラシナ、ハクサイ、トマトでは、BLによって明らかなアントシアニンの蓄積が見られた。カブ、カラシナ、トマト、ナスでは、可視光によって明らかなアントシアニンの蓄積が見られた。しかし、青色光、赤色光、遠赤色光単独光ではアントシアニン蓄積は見られなかった。 BLで顕著なアントシアニン蓄積参見られたカブ、キャベツ、カラシナ、トマトについては、紫外〜青色領域のより狭い範囲の波長に対する反応を調べた。いずれの植物の上胚軸でもBL、BL+青色光、UV-Aでアントシアニン蓄積が見られたが、UV-Bや青色単独では明らかなアントシアニン蓄積は見られなかった。キャベツ、トマトではBL+青色光によりBLまたは青単独照射よりも強いアントシアニン蓄積が見られ相互作用が認められた。また、カブ、キャベツではUV-B+青色光により青色またはUV-B単独照射より強いアントシアニン蓄積が見られ、UV-Bと青色光の相互作用が認められた。また,カブ下胚軸ではUV-A+UV-Bでは明らかな着色がみられたのに対して,UV-A単独ではアントシアニンの合成は誘導されなかった. 以上の結果よりカブ、キャベツ、カラシナ、トマトのアントシアニン生合成を誘導する紫外〜青領域の光に関して(1)UV-A単独(カブ、キャベツ、カラシナ、トマト)、(2)UV-A+青色光(トマト)、(3)UV-B+青色光(キャベツ)、(4)UV-A+UV-B(カブ)の4種類の反応が存在することが示唆された。
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