研究概要 |
1.トマトの水要求に心えるには、生育途中で培地量を2倍(6l)に増やすと同に,もう1の「ひも」を配置して大塚A処方1/2濃度で終始管理すれば,尻腐れ果実はほとんど発生せず大玉トマトの安定生産が可能であることを明らかにした。また、培地量3リットルでも2本の「ひも」を使用すれば、高温・強日射下でも水要求に応えられる可能性は高いとした。2.砂培地では生育中、初夏の日射が厳しいときには時折、萎れる株が見られる。そこで、粒径と毛管水の移動速度ならびに栽培中の含水率変動を計測すると同時に生育と収量に関して調査したところ、砂の粒径が1mm以下では萎れ症状は観察されず生育も良好となることから粒径1mm以上の砂を除くことが重要であるとした。 3.要水量を定植前に予測することは、果実の経済生産および水の確保手段を考える上で重要となる。「防根給水ひも」栽培では、水および養分は圏外に流出することがないため土耕での吸水量を正確に測定することができる。代表者が開発した栽培装置の根域制限栽培において中玉系品種 'レッドオーレ'の各部位の乾物と果実収量を調査し水利用効率を求めたところ、水1l当たり全乾物重で6g、果実重で43gが生産された。促成作型において培地3リットルに定植すれば、若干の水ロスを考慮しても60リットルの水が確保できれば、少なくとも第7段果房まで問題なく収穫できることを明らかにした。このとき水利用率は97%(蒸発3%)となることを示した。 4.「防根給水ひも」栽培では,肥料は肥効調節型で培地に混和しておき,「ひも」では水のみを供給する方法が考えられる.導入コストが抑えられる本法について大玉トマト促成15段栽培において検討を行ったところ、株当たり16.2gの窒素施肥量で十分であり,この量を基準とした窒素溶出量の平準化が必要であるとした.
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