本研究では、イネいもち病菌の非病原力遺伝子座として知られるAvrCo39における非病力遺伝子産物の同定を目的としている。AvrCo39座に存在する小さな4つのORFおよびステムループ様のRNA分子を転写可能な領域を候補として、点突然変異体を作製し、それらの変異遺伝子を導入したいもち病菌の病原性を検定することにより、AvrCo39における非病力遺伝子産物の同定する予定である。 本年度は、これらの4つのORFおよびステムループRNAの点突然変異体の作製を完了させた。これらの変異AvrCo39遺伝子を、抵抗性遺伝子Co39を保有するイネ品種に本来親和性であるイネいもち病菌に導入し、その病原性の変異を検定したが、本来、親和性である野生株が、充分に宿主イネにおいて病原性を発揮しないという現象に陥り、変異AvrCo39遺伝子の効果を明確に検定できなかった。ORF3の変異体が最も病原性が強く、AvrCo39の非病力遺伝子産物の候補として考えられたが、親菌系を変更して、より正確に検定する必要があると考えられ、現在、その実験を行っている。
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