研究課題
1) カイコ第6染色体上のBmTNML座位(MLEにL1Bm,BMC1が挿入されたユニットで、クワコではMLEにBmmaT1が挿入されている)における、4種類の転移因子の挿入、切り出しの順番と年代、TMRCAを、アジア各地に生息するクワコの配列を用い、Coalescent methodsに基づき推定した。この座位におけるMLEのゲノムへの挿入は約1000万年前後であることをこと、L1Bmがその後MLEに挿入され、クワコの一部の集団においては新しい年代にBmamaT1が挿入され、一部の集団ではこれが切り出され、またカイコの系統のみで、L1BmへのBMC1の挿入が比較的最近おこったことが推定された。これらの結果は、特定のMLEがゲノム進化時計としてのひとつの指標となる可能性を示唆した。2)mos1のTransposase(TP)発現バキュロウイルス(AcB-TPmos)と、 mos1のITRでgfpおよびハイグロマイシン耐性遺伝子を挟んだ転移ユニットを組み込んだウイルス(AcB-GHmos)を作製した。この2つのウイルスを用いてバキュロウイルスを介したmos1転移活性を、魚類細胞を用いて解析し、形質転換細胞が得られた。この結果はmos1がバキュロウイルスを介して魚類細胞に導入される可能性を示唆した。一方、哺乳動物細胞におけるバキュロウイルス遺伝子の発現制御について解析した結果、哺乳動物細胞内ではバキュロウイルス遺伝子の発現が宿主のエピジェネティック修飾により抑制されていることが判明した。このことから、自然界において哺乳動物細胞ゲノムへのmos1転移がバキュロウイルスを介して生じる可能性は低いことが推定された。3)mos1をショウジョウバエ、w1118系統にP-elementを用いて導入した系統を数系統作成し、このうちの2系統を用いて、マイクロアレイ実験を行ったところ、2つのレトロトランスポゾン(Doc, 297)の遺伝子発現レベルの上昇が確認された。この結果から活性型トランスポゾンのTPがレトロトランスポゾンの遺伝子発現の上昇に寄与している可能性が示唆された。
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Archives of Virology 155
ページ: 577-581
Entomotech 34(in press)
http://www.tbc.u-ryukyu.ac.jp/ja/comb/staff-research/staff/article/266-comb-lab/12-nakajima.html