研究課題
近年、菌体成分をパターン認識して生体防御を担う自然免疫系の研究が飛躍的に進んだ。細菌細胞壁の骨格を成すペプチドグリカン(PGN)に関しては、Toll-like receptor(TLR)2に加えて、細胞内レセプターNOD1とNOD2が、それぞれジアミノピメリン酸(DAP)含有ペプチド構造とムラミルペプチド構造を認識する。プロバイオテイクスに頻用される動物寄生性Lactobacillus(乳酸菌)はDAPを保有しないが、植物寄生性のLactobacillus plantarumはDAP型でNOD1とNOD2両方のリガンド構造を有している。本研究はL. plantarum PGNが多様なレセプターを介して、局所(腸管粘膜)ならびに全身の免疫機構を強力に活性化する可能性を探るものである。[本年度の成果と考察]PGNの免疫増強作用、特に細胞性免疫(Th1応答)増強作用の研究には伝統的にモルモットが供試されてきた。実際、MDPに関してモルモットやヒトは高応答性で、マウスは低応答性との報告がある。共同研究者の遠野雅徳博士(学振特別研究員)らはヒトに近いモデル動物としてブタを供試して各種乳酸菌のプロバイトテイクスとしての研究を進めている。その一環として、ブタのTLR系ならびにNOD1/2遺伝子をクローニングしてその機能解析を進めてきた。そこで、遠野博士らの協力を得て、モルモットのNOD1ならびにNOD2遺伝子をクローニングしたところ、その塩基配列はヒトに類似性が高く、マウスとは異なっていた。[今後の計画]モルモットNOD1/2分子の機能をヒトならびにマウスのそれらと比較しながら解析して、NOD1/2系に関して、モルモットがヒトに近いモデルであることを実証した上で、L. plantarumの免疫増強作用を動物寄生性乳酸菌のそれと比較検討して、その有用性を実証したいと考えている。
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