研究課題/領域番号 |
19658030
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
永田 裕二 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 准教授 (30237531)
|
研究分担者 |
津田 雅孝 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (90172022)
大坪 嘉行 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教 (40342761)
|
キーワード | 細菌 / 環境 / 遺伝子 / 微生物 / 遺伝子伝播 |
研究概要 |
環境細菌は、変動しやすい様々な環境に適応し生存するために、複雑な遺伝子発現調節機構に加えて、水平伝播による遺伝子の外部からの獲得やゲノム構造の再編成など、よりダイナミックな遺伝子構造の変化を伴う環境適応機構を有していると考えられる。本研究では、難分解性環境汚染物質分解酵素遺伝子の周辺領域に高頻度で検出される可動性のISに注目することにより、(1)これらISの自然環境での分布と動態の把握、(2)自然環境での機能的遺伝子カセット創出のメカニズムの解明、(3)ISを利用した新規遺伝子取得方法の確立を達成目標とする。本年度は、まず、有機塩素系農薬gamma-HCH汚染土壌から直接抽出したDNAを鋳型とし、PCRで増幅した2コピーのIS6100で挟まれた領域に高頻度でgamma-HCH分解に関与するlin遺伝子群が存在することを確認し、その成果を国際学術誌に投稿、受理された。本手法は、新規かつ簡便な培養非依存的機能遺伝子取得法として高く評価された。さらに、PCRでIS6100が検出されない非汚染土壌をgamma-HCHで人工的に汚染させたところ、IS6100が検出されるようになることを明らかにした。同土壌を芳香族化合物で人工的に汚染させた場合には、IS6100が検出されるようにはならず、土壌中でのIS6100の増幅は、gamma-HCH汚染特異的であることが示された。さらに、2コピーのIS6100で挟まれた領域の塩基配列を決定したところ、(i)汚染後の日数によって最も多量に存在する同領域の塩基配列が全く異なること、(ii)既知のlin遺伝子は同領域に見出されないこと、が明らかになった。また、汚染土壌は微弱なgamma-HCH分解活性を示したが、既知のlin遺伝子群は検出されず、新規遺伝子の存在が示唆された。
|