本研究は、in vitroで乳酸菌によるマクロファージに対する活性化作用を検討しようとするものである。このためには、本検討に用いるマクロファージをいかにして調製するか、さらにその活性を維持させるための培養法を確立することが重要であった。 コイ腎臓より細胞を調製し、密度勾配遠心、プレートへの付着性によりマクロファージを中心とする貪食細胞分画を調製した。本細胞画分からの株化も試みたが、これは成功しなかった。しかし、通常の魚類培養細胞用の培養条件により、貪食細胞画分が数日間以上にわたって活性を維持できることが明らかとなった。 そこで、上記貪食細胞画分を用いて、蛍光標識したビーズの取り込みをフローサイトメトリーにより測定する手法、およびNBT還元能を指標として細胞の活性酸素産生能を定量する手法を確立した。 次に、既にコイ消化管より胆汁酸抵抗性、魚病病原菌に対する抗菌活性を指標として得られていたプロバイオティクス候補乳酸菌株10株を用いて、in vitroでのマクロファージ活性化能について検討した。その結果、いずれの株でも活性化が認められたが、そのレベルは菌株によって異なっていた。このことから、本手法を用いて魚類用プロバイオティクス候補株のさらなるスクリーニングが行えることが明らかとなった。しかしながら、活性化レベルの違いが、菌株によりそれほど大きくはなかった。このため、さらに対象とする菌株を増やして検討を行っていくことも必要と考えられた。
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